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ピアノ学習のメソッド

先日の音楽高校でのミニ講演会で辻井伸行君を12年間指導してきたことなどについても少し話したのですが、そのあとコーディネートしてくれたプロデューサーの人と話していて、やはり辻井君の指導で一番興味を持つことは、どうやら「メソッド」に関すること。つまり、彼にピアノを教えていくにあたって「どの教材をどんな順序で勉強したのか」ということらしいのです。私は一言、「実は彼にはチェルニーとバッハはほとんど使いませんでした」と、一番ポイントとなる部分を話したのですが、まさにその部分にものすごく興味を持たれていました。

これまで何かの取材の折りにも話したことはあるのですが、辻井君の指導に私は意図的にバッハとチェルニーを避けました。特に初期においてですが。やはり譜読みには時間を使いますから、特に練習曲の譜読みに使う時間は極力抑えなくてはいけません。音楽的に深く得るものがある曲だけにして、あとはすべてカット。そしてバッハは、やはり目で楽譜を追いながら頭で理解する楽曲が多いですから、時間とともに消えていく音を耳で追って楽譜に書いてあることを数学的・理論的に理解するのは大変です。ですので、そのようなものは労力ばかり使うので避けました。フーガのようにポリフォーニーが複雑で頭を使うものはもっと後になってから学んでも遅くないと思いました。同様に、テクニック的なものを身につけるために必ずしも機械的なエチュードも必要ないと判断しました。
その全体的なメソッドに関しては、他の人に使えると思われる部分も多いのでいつか詳しく公開したいと思っています。

だいたい現代の忙しい時間の流れの中で、ピアノの練習といえどもやはり無駄な時間を使うことは避けなくてはいけません。子供だって勉強しなくてはいけないことはとても多いし、時間は無限にあるわけではありません。だから、ピアノ学習の教材も山ほどありますが、その中から本当に良いものだけを効率的に与えていかなくてはいけません。普通の勉強においても、参考書や問題集は山のようにありますが、それらを全部やるのではなく、本当に良い問題が厳選された問題集1冊を何度も繰り返してやったほうが難関校に受かる確率が高いと聞きますから、ピアノの勉強も同じだと思います。いろんな曲集や練習曲などが山のように存在しますし新刊楽譜もどんどん出版されるのですが、もちろん全部をやる必要はなく、その中から厳選して系統的に勉強していくほうが絶対に有利です。教材の中にはあまり意味のないものや、一部しか使えないと思われるものもけっこう溢れていると思います。

さて辻井伸行君ですが、本日4月30日(金)13:20よりテレビ朝日系『徹子の部屋』にお母さんと出演するようです。そして、明日5月1日(土)19:00からの『徹子の部屋』の35周年記念番組にも出るそうです。こちらはサプライズもあるかも?!
それから、5月7日(金)のTBS『金スマ』に伸行君のお母さんが出演するそうですが、『金スマ』の制作局はこの番組の件で私の自宅へも取材に来ましたからきっと私もVTRで出ることでしょう。こちらもお楽しみに。

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