クラシック音楽ファンでカプースチンという作曲家の名前を聞いたことがないという人は、気がつけばもうかなり少なくなっているようです。ピアノや弦楽器奏者でカプースチンファンがあちこちで増えているのは喜ばしいことです。学生たちももうみんな知っているし、弦楽のための作品もすでに演奏したという人も多いです。私も先日ヴァイオリン・ソナタの抜粋を久しぶりに披露しましたが、やはりお客さんからの好反応がありました。
最近、大学で台湾からのピアノの留学生をたまたまレッスンしたのですが、私のところにカプースチンの「ソナタ・ファンタジー」を持ってきたのです。楽譜は台湾で手に入れたということで、なんと私が編集出版した日本版の楽譜を持っているではないですか。台湾でも売っているのですね。ネットで購入したのではなく台北の一番大きな楽譜屋さんで買ったというのです。ちょっと感動しました。ちなみに今回レッスンをすることになったのはちょっとした偶然だったのですが。
今後まだメジャーになる可能性を持った作曲家としてはメトネルもそうだと思うのですが、世界各地のピアニストやピアノファンから私にもいろんなアクセスがあります。特に多いのはイギリスから。あとはアメリカやカナダなど。カプースチンもメトネルも、楽譜や音源がほしいとか、手に入れる方法は?とか関連情報の問い合わせは断続的に常にあります。やりとりをしているうちに、逆にこちらが貴重な情報を得ることもあります。先日も自分のCDを海外へ送ったりしました。
ネットの影響も大きいとは思いますが、特にコアなファンのつながりは世界同時進行ですね。カプースチンが好きというメンタリティは、どうやら世界共通のようで民族に関係ないようです。YouTube等で見ると、カプースチンは日本・アメリカ・ロシアに限らず南米やアフリカ、オーストラリア、アジアでも広く聴かれているようです。私の演奏も含めて。
今年の夏はイタリアの音楽祭へ行きますが、そこでもし私がカプースチンやメトネルを弾いたとしても、世界から集まった正統派ピアノ弾きたちはあまりビックリしないで見つめるのではないかと推測しています。