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リストコンクールとベートーヴェンコンクール


今年はコロナ明けというタイミングで海外でのピアノ国際コンクールも目白押しです。
先日ワルシャワでショパンコンクールが終わったばかりですが、今度はドイツ語圏でまた2つのピアノの国際コンクールが行われました。

一昨日にヴァイマールとバイロイトで行われていたフランツ・リスト国際ピアノコンクールが無事に終わり、日本人の参加者では東京音楽大学在学中の嘉屋翔太君が第2位を受賞しました。おめでとうございます。そしてこの2位は1位なしの最高位ということです。

リストコンクールの表彰式の審査員長による冒頭の話によれば、今回は昨年から世界に蔓延したコロナのパンデミックのためにいろんな意味で異例のコンクールになったこと、特に今回は37人のコンテスタントの出場を許可していたが、実際にドイツにコンクールを受けに来れたのは19人のみ。特にロシア、中国、日本、韓国などから来れなかった参加者が多く、それはこのコロナ禍においてのさまざまな理由による渡航困難のためだったようです。
それでもなんとか無事にコンクールは開催できて、参加できたコンテスタントたちはしっかり準備された演奏で、協奏曲に至るまでのリストの作品を多数演奏してクオリティ高いステージを繰り広げていたようです。

その前の週には、オーストリアでウィーン国際ベートーヴェンピアノコンクールが行われていました。こちらも無事に終了して、ウィーン楽友協会大ホールでのファイナリストの演奏と表彰式が配信されていました。このコンクールでの6位までの入賞者には、残念ながら日本人は含まれていないようです。
動画では、ショパンコンクールの時もそうでしたが、ファイナリストの上位者は一人ひとりがインタビューを受けたものも配信されていて、ベートーヴェンの音楽について自分の考えやスタンスなどを語っています。特別に撮影されたもののようで、それぞれの奏者のコンチェルト演奏の前に挿入されていました。動画の時代になって、もうファイナリストになるような人なら、演奏だけではなく世界に向けてこのように自分の言葉で音楽や演奏について語る機会が与えられるということですね。ドイツ語圏のコンテスタントならドイツ語で、それ以外の外国人コンテスタントは少なくとも英語でこれだけ語ることができなければいけないということです。だから、これから国際コンクールを受けに行くような若いアーティストたちは、しっかりと外国語も勉強してトータルな人間力で勝負していく気概を持って臨まなければいけないということですね。

ショパンコンクールはもちろんですが、ベートーヴェンコンクールやリストコンクールのように、ほぼ一人の作曲家の作品だけに特化したピアノコンクールが存在します。それらもすでにけっこうな歴史を経てきたように思います。もう少し小さな規模のものでそのようなコンクールはありますが、やはりゆくゆくは「カプースチンコンクール」を開催できる日が来ると良いなと思っています。

これまで、そのようなコンクールはその作曲家ゆかりの地(生まれた場所など)で開催されるケースが多いと思いますが、もしカプースチンコンクールを行なうとすればどの国のどの都市で行うのが理想だろうか、などと考えています。ウクライナやロシアも考えられますが、日本のどこかの都市で開催しても良いのではないだろうか、とも思っています。やはりやるからには、カプースチンにも素晴らしいピアノ協奏曲が数曲存在しますから、本選では協奏曲でオーケストラと共演ができるくらいの大規模なものにしたいものです。ホールやオーケストラ、指揮者、あるいは楽器メーカーなどいろんな人たちの協力を得られれば、将来的にはカプースチン国際コンクールの開催も可能なのではないかと思っています。そのような夢を持ち始めているところです。すごく魅力的でアピール力のある音楽イベントになるのではないかと考えます。5年、10年のスパンでこの考えを温めていきたいと思っています。

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