Site Overlay

ペルージャ音楽祭2013にて(2)

今回のイタリア滞在ではWi-Fi環境が以前よりも良いので本当に助かります。

私が1日目に受け持ったマスタークラス(公開レッスン)では、5人のうちアメリカで勉強している子が半数以上で一人が日本人(偶然にも何度か日本でレッスンをしたことがあったので知っていた子)。この日は8割以上がロシアもののレパートリーで占められていたのは面白かったです。マスタークラスでは、レッスンを聴く聴衆がたくさんいるので、日本人の生徒だからと言って日本語でレッスンをするわけにはいきません。礼儀としてやはりそれだけはしたくない。だから、少し不思議な感じはしますが、日本人に対しても(それもよく知っている子であっても)英語でレッスンすることになります。あとで、その子本人(高校生)に訊くと「ちょっとシュールな感じがした」(笑)と言っていました。

2日目のマスタークラスにおいてもそれは同様で、日本の東京音大生(ただし武田先生門下の生徒さん)が2人も私のレッスンに当たってしまったのですが、やはりすべて英語でレッスンをすることになりました。ワケわからなかったかもしれませんね。ただし、この日は面白いことに5人ともアジア系の生徒さんでした。

プライベートレッスンでは、昨日私のところにイスラエルからの14歳の女の子も来ましたが、バッハを弾いていて普通にレッスンを始めたのですが、なんだか様子がおかしい。実は英語はわからないというのです。両親はロシア人だからロシア語はわかると言います。イスラエル人だから自国で話しているのは当然ヘブライ語です。私がどちらを選ぶかといえば、ロシア語しかないので、自分の最近ダメダメな状態になっていたロシア語を引っ張り出してレッスンしました。単語がすぐに出てこなくて死にそうでしたが、英語がまったくわかってもらえないよりはきっと良かったでしょう。イスラエル人には、もちろん十代の子でも英語がペラペラな人もいます。

そんな訳で、いろんなバックグラウンドを持った人たちが世界から集まっているのですが、考えてみると、こういうシチュエーションは音楽の世界では普通なのですが、意外に珍しいことなのかもしれないと思いました。音楽は世界共通だから、そこには何の垣根もないわけで、それだからこそ、普通にしていたら巡り合えないような人たちとたくさん会うことができます。来るたびに「世界は広いな~」と日本の大学生たちも息をついています。
私が連れてきた門下生たちは、外国人とたくさん友だちになろうとして頑張って交流しているようです。ただしまだあまり深い話はしていないようですが。(笑)

書きたいことが山のようにありますが、今日は自分の演奏会の本番もあるのでこの辺にしておきましょう。カプースチンを1曲弾こうかと思っているこの日に、ロシアのカプースチン本人からメールが来たりして嬉しい気持ちになりました。

もう1つだけ。
ついさっき練習をしてからホテルに帰ろうと思ったら、一度レッスンをしたアメリカの学生が話しかけてきて、なんと「実は私、今カプースチンに関する博士論文を書いているんです」と言うのです。「え~、あなたも?!」という感じで、思わぬビックリがいろいろあるものです。すでに英語で書かれた論文は2つ存在するのは知っているけど、ほかにカプースチンに関する資料は存在するのか知りたいということでした。Masahiro Kawakamiなら知っているのではないかと思って、いろいろ訊いてきたわけですね。これで今年カプースチンの論文を書いているという人を私は世界に3人発見したことになります(笑)。彼女は、先日のレッスンの時にはスクリャービンを弾いていたのですが、その日はカプースチンどころではなかったのでいつか私に話そうと思っていたようです。熱心な人がいろんなところにいるものですね。今回、私は早めにイタリアを発つ予定なので、今日偶然に音楽学校の廊下でまた会えて本当に良かったです。


右奥に見えるのが音楽学校(レッスン&練習場所)です

上にスクロール
Translate »