今日は彼のリサイタルの追加公演(夜)を聴きに白寿ホールへ行ってきましたが、正直な感想としては、「いたって普通のクラシック・ピアニスト」という印象でした。彼の身体の動きは確かに変わっていますが、ワン・パターンと言ったら変ですが、別にあれは納得できるもので、とりたてて可笑しいものではないように思えます。
まさか前半にムソルグスキー「展覧会の絵」を弾くとは知りませんでしたが、実は予備知識もなくほとんど初めて聴いたのですが、予想とは大幅に違いました。まあ一応親近感は持ちましたが、見かけと噂の方がよほど面白かったかなと。
期待していたのは自作や編曲でしたが、何度か聴くとだんだん分かってきたというか、新鮮な驚きは少なかったというのが本当のところです。自作の「3つのバラード」は、雰囲気は濃厚ですが、書法はシンプルでほとんど即興演奏でできる程度のものでしたし、モーツァルトのトルコ行進曲の編曲も初めて聴いたら面白いのでしょうが、途中にストライド系のジャズが挿入されているだけで、クラシックのスタイルできっちり繰り返されるだけです。パガニーニの編曲もほとんど同じ発想です。でも、お客さんはこういう曲の方がノリが良いし好きみたいですね。
ガーシュインは、ほぼ完全に楽譜をなぞっているだけで、これまた普通のクラシック・コンサートとしては当たり前ですが、ジャズなど何が出てくるか分からないというパフォーマンスをいくらか期待していた私にはちょっと残念でした。
とはいえ、あのプログラムで1日2公演を承諾してしまうのだから、偉いというか凄いことは間違いありません。敬服しました。