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カプースチンと再会して

今回モスクワにてカプースチンと再会できて、一緒にピアノにも向かい、じっくりお話を交わして感じたことがいくつかありました。

今やもう数え切れないほどのピアニストや他の楽器奏者がカプースチンの作品を演奏するようになりました。すでにかなり世界的スタンダードになったと言って良いでしょう。ただ、作品の中にはまだ誰にも演奏されてないものもありますし、彼の音楽の多様さと本当の素晴らしさはまだ多くの人に理解されてないのではないかと思います。

初期には確かにジャズやポピュラー音楽の影響を受けたし、それが功を奏して、それまで誰も聴いたことのなかった斬新な音楽が生まれました。作品は、声楽曲以外のあらゆる器楽曲にわたり、技術的には難しいものも多いですが、現代人にピッタリ合った感性やノリの良さが多くの人に好まれました。その後、独自の発展を遂げ、作風は一貫して作曲家自身のアイデアや感性の赴くままにますます進化していきます。そして最近の作品になればなるほど精緻な書法になってきて、そのような作品は一聴して分かりにくいと感じる人もいるかと思いますが、どの曲にもなかなか深い味わいがあります。演奏して初めて分かってくる種類の奥深さもあります。また、多様な個性あふれるロシアの作曲家たち、長いロシア音楽の伝統もしっかり刻まれているのです。

本当に言葉では尽くしがたいのですが、カプースチンの音楽の本質は全体としてまだ10%くらいしか知られていないのではないかと私は感じます。今回本人に会ってあらためて話をしたり考えさせられて、彼の素晴らしさ、もちろん音楽も人間もですが、その奥深いものを多くの人に知ってほしいと強く思いました。

さて、作品は今年の8月にダーチャで完成したフルートとチェロのための作品156が一番新しいものです。今も作曲を続けてくださっていますが、もうこれからもずっとカプースチンの一部始終を見守っていきたい気持ちになりました。

奥さんと一緒にお二人ともお元気でしたが、本当に私たちのことも心から歓待してくれて、二人とも人間的に素晴らしすぎて涙が出そうでした。音楽のこと、家族のこと、日常のことなどいろいろ話しているだけで、なぜか感慨に打たれるものがありました。表向きは面白いことを言ったりしていることのほうが多いのですが、その内容の価値は私たちにとっては計り知れない価値を持っているような気がしました。振り返ってみてあらためてそう思います。

会話の内容をできるだけ伝えようとトライしてみましたが、プラベートな内容ももちろんたくさんあるし、ブログに書けることはやはり限られますね。でも、どこかでカプースチンのことをもっともっとちゃんと語らなければいけないなと思っています。もちろん、演奏する人ももっと出てほしいし、音楽家カプースチンの素晴らしさを多くの人に知ってほしい、カプースチンを愛する人がもっと増えてほしい。そのためには、自分自身のことなど投げ捨ててカプースチンに対する愛情をもっと表していかなければいけないとあらためて思ったりしました。

やはり先月初旬にカプースチンに会ってきた西本夏生さんも同じようなことを言っていましたが、おそらくカプースチンには人間を強く惹きつける魅力があるのだと思います。音楽を聴いても本当にそのとおりなのですが、まだまだちゃんと知られていないので、これからこそ本腰を入れた活動が必要になるのではないかと思います。
やっぱり、今回も忙しいスケジュールをやり繰りしてモスクワまで行ってきて本当に良かったです。

なんだか自分自身の日記のようになってしまいました…。すみません。
ブログで書くのは本当に難しいですね…。


カプースチン夫妻&川上夫妻

本当に奇跡のような時間でした。

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