昨日は、久しぶりに辻井伸行君親子と私たち夫婦で一緒に食事をする機会があって、先月のオーストラリアでの演奏会成功の話などを聞きながらとても楽しいひと時を過ごしました。ただ、お母さんのいつ子さんと私ばかりがよく喋っていたような気がします。すみません。
3日前の朝のNHKに辻井君が出ることは知っていて、たまたまその時テレビが近くにあったので気がついてスイッチを入れた瞬間に彼がちょうど出ていたのですが、もう少しで逃すところでした。「真田丸」のテーマソングなどをヴァイオリンの三浦文彰さんと弾いていたのですが、演奏もトークも二人ともとても良かったです。あとで本人に聴いたらあれは生放送だったのですね。朝の5時半にNHKのスタジオに向かったとか。早朝から大変でしたね。
さて、11月6日の私がコンチェルトを弾いた演奏会の話に戻りますが、その日のカプースチンのコンチェルト第3番の録音を作曲者本人に送ることができました!かなり待ち遠しかったようですが、なんとか無事に送ることができて聴いてもらえて良かったです。その翌日、さっそくカプースチンからコメントを頂きました。(以下、露→日に翻訳)
「…2回通して聴いたよ。とても満足しています。ご成功本当におめでとう!とても難しくて長い曲…私のすべての作品の中でこの曲より長いのは『24のプレリュードとフーガ』だけですよ。本当にありがとう!偉業を成し遂げてくれた。ほかにこのコンチェルト弾く人はどこにも見当たらないのだから。…中略…
「で、Youtubeにはどうやって公開するか私は判らないが…でも公開すべきだと思うけど…
もう一度本当にありがとう。でも動画がないのは残念だな…」
カプースチンはインターネットでも自身の作品を世界のさまざまなアーティストが演奏してアップしているのを楽しみに聴いておられるようですね。
この音源を一般公開するかどうかはまだ分かりませんが、でも多くの人にどうにかして聴いてほしいとは思っています。どちらかと言えば、私はこのコンチェルトを再演したい気持ちでいっぱいです。それが実現するようにまた働きかけていきたいと思っています。
先週はまた、カプースチンの誕生日の前日という日を選んで、カプースチン79歳の誕生日に捧げるコンサートを企画した人がいます。アメリカのジュリアード音楽院で学んでいる中国出身の若いピアニストLiang Dai君なのですが、彼はカプースチンに入れ込んで数年前から作品を弾いていて、どうしてもこのコンサートを企画したかったということです。そして、このコンサートも無事に成功に終わったようです。
プログラムはオール・カプースチンで、ピアノ協奏曲第2番、第4番ほかオーケストラと共演する他の曲(Op.3の変奏曲など)やソロ曲を含め、かなり長いプログラムをやったようです。カプースチンを熱愛している彼はジャズも得意とするようですが、いずれはカプースチンの曲は全部弾きたい、いや弾いてみせると作曲者本人の前で豪語したとか。
ちなみに、カプースチン本人はもうあまり外に出ないのでこのコンサートには出かけなかったようですが、その翌日彼の自宅にこのピアニスト君は訪ねて来たようです。カプースチンは、「彼とは友達になれた。彼はなかなか素晴らしい」と言っていたので、カプースチンも喜んではいるようでした。「コンサートの録音を送ってくれると言っていたけど、まだ来ない」とか言っていましたから、興味は強く持ったようですね。
最近は世界のあちこちにこのようなカプースチンの熱狂的なファン(演奏家も)が増えていっているようです。ちなみに、一晩にコンチェルトを2曲も弾いたジュリアードの彼はまだ17歳になったばかりと言います。軽いショックは受けますね。(笑)