先日ヨーロッパ・ツアーから帰国したばかりの辻井君と電話で話す機会があって、その時に本人からも聞いてはいたのですが、昨日の都内で行われた記者会見で正式に発表されたようです。ドイツ・グラモフォンとの契約締結という大きなニュースです。今回また彼は大きな一歩を踏み出しました。
ドイツ・グラモフォンと言えば、私などは子供の頃からもう著名なアーティストたちの数え切れないほどの歴史的名演をたくさん聴いているわけで、今でもクラシック音楽界ではこのレーベルから大きな恩恵と影響を受けています。価値ある音源、新しいCDはまだまだこれからも生み出されるということでしょう。
そしてピアニスト辻井伸行にドイツ・グラモフォンから第1弾アルバムで提案された曲はなんとベートーヴェンの『ハンマークラヴィア』ソナタということです。本人もやる気満々の様子でしたが、これはなかなか意表を突いた戦略というか、私の反応などは「へえ~~~!(すごいね)」という感じで言葉がなかったのですが、彼がベートーヴェンでまた世界の注目を浴びることになるのは嬉しいです。
もう7月にはドイツでそのレコーディングが予定されているということで、彼は同じ時期にスイスのヴェルビエ音楽祭にも招待されていて、そこではソロ・リサイタルでバッハ、リスト、ラヴェルにカプースチンの『8つの演奏会用エチュード』全曲などハードなプログラム、それにシューベルトのピアノ五重奏曲『鱒』などを弾く演奏会もあるわけで、それと同時に『ハンマークラヴィア』も持って行くという大変なスケジュールになりますね。こんなハードな仕事も彼はきっとやり遂げるのでしょう。
おそらく今後はさらに忙しいピアニストになって、第一線で活躍する人として世界中の人たちからますます大きな期待を受けることになるのでしょう。心から応援し続けたいと思います!