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NHK全国学校音楽コンクール(2)

昨日の続きです。音楽家の職業病ともいえますが、今日は朝からずっと昨日の「課題曲」が頭の中で鳴りっぱなしで止められません。
コンクールでは各校が課題曲と自由曲を1曲ずつ歌いますが、課題曲は合計11回、それに最後の全体合唱でもやりましたからさすがに覚えてしまいました。それに対して、「自由曲」のほうは本当にバラエティに富んだ選曲がなされていました。

全国から勝ち抜いてきた高校の中には、毎年連続で全国大会に出場している学校もあり、きっと指導する先生も素晴らしいのでしょうが、やはりそういう過去の実績にはかなわないものがあります。それにしても、「課題曲」は学校によっていろんな演奏があって面白かったです。
毎年このNHKコンクールのために書かれる課題曲は、ピアノ伴奏者にも一定のレヴェルを要求されるものが多いようです。合唱曲でのピアノ伴奏の持つ責任は、意外に重大なものです。その点で、昨日はどの学校の伴奏者も素晴らしかったです。
強いて言えば、贔屓にするわけではないのですが、我が旭川東高音楽部の伴奏者だった長木君という2年生の男の子はすごかったです。譜面台を倒して、楽譜を一応ポンと置いてはいましたが、暗譜で全曲を弾いていて、そんなことをしたのは11校中、彼だけでした。ちゃんと自分の解釈を持っていて、しかもそれがきちんと正統的であって面白く、強弱のコントラストやリズムの感じ方が素晴らしかったのです。

ところで、昔から感じているのですが、日本の合唱曲の作品のレヴェルはとても高いと思います。ピアノで伴奏する曲が多いですから(嬉しいことに!)、ピアノという楽器の能力が最大限に生かされている作品も多いです。他の国でどれだけ合唱が盛んなのか詳しくは知りませんが、少なくとも日本の作曲家は合唱界では素晴らしいお仕事をされているように思います。すでに2〜30年前からNHKコンクールの課題曲の質は高いところで安定していましたが、まだまだ進化しているように感じます。

日本の合唱の世界では、現代人の知っているさまざまな語法がすべて入っているようなところがあって、例えば民謡風であったり、邦楽的な音の使い方あり、クラシック音楽の語法あり、8ビートなどノリの良いリズムを持つ曲あり、ポップスの要素あり、さらに12音技法なども効果的に使うなど、1曲の中にさまざまな要素がうまくミックスしている曲もあります。まさに音楽の宝庫ですよね。
合唱の世界は、「アカペラ」と「ピアノ伴奏付き」の作品だけでも、ものすごく広大で魅力的で感動の多い世界、ぜひ多くの人に経験してほしい世界です!

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