先日のショット社訪問の話題の続きですが、カプースチンの楽譜で年内に出版することが決まっている作品がすでにFBなどでも公開されているので、ここにも書いておきます。
・5つの異なる音程によるエチュード 作品68
・ヴァイオリンソナタ 作品70
・カプリチオ 作品71
・10のインヴェンション 作品73
・シンフォニエッタ(連弾) 作品49
大きな作品ばかりですが、これらが現時点で出版が決まっているものです。この中には世界初出版の楽譜もあります。


ショット社はカプースチンの全作品を出版する意気込みです。普通は出版社は売れ筋しか出さないのが常ですし、マイナーな作品もあるので全曲出版などは大変なことです。でも、ショット社は採算を度外視して「素晴らしい作曲家の作品は全部世の中に出したい」というスタンスでやっているのだと思います。有り難いことで、世界中でこれからどんどん楽譜が売れてほしいと思います。日本のマーケットもとても重要なので、ヤマハさんなども頑張ってくれていますが、ぜひ皆さんにこのプロジェクトを応援してほしいです。
上の5作品の出版の順序は、準備ができた作品からということになります。私が日本に帰国してからゆっくり校正する作品もあるのでまだまだこれからなのですが、一つ一つ形にしていきたいと思います。来年以降出版する作品については、まだ順番などは決まっていませんので、需要が多いと思われるものを先に出してほしいと私からもショット社に提案したいと思いますので、皆さんのリクエストもお待ちしています。
はるばる日本からマインツを訪ねたわけですが、ショットからはまたたくさんのお土産を頂きました。今回は楽譜など全部で3~4kgほどになるでしょうか。日本に持ち帰るのは少々重たいのですが、全部頂いてきました!(カプースチン作品以外の近作も!)

Yanaさんが今回著した本は、カプースチンを深く知りたい人にはとても重宝する1冊です。本の中には、カプースチンとの会話がときどきそのまま引用されていますが、その会話は私が15年間してきたカプースチンとのメールや会話のやり取りとそっくりです。本が英語で書かれたものなので、ロシア語でなされた会話が英語に訳されてはいるのですが、これを読むと、カプースチンの人となりがすべてわかると思います。それにしてもYanaさんのカプースチンとその音楽に対する洞察は本当にスゴイと思いますし、たった4~5年の取材でここまでの本を書き上げたことにも心から敬服しました。

RobertさんとLeonidさん
ショット社のRobertさんは、ここ数年来カプースチンの作品の編集・出版に携わっていて、私も彼とはしょっちゅうやり取りをしていますが、元は彼もピアノ出身なので、校正や編集をしていても楽譜のかなり細かいところまで話が通じるので本当に助かります。
Leonidさんとは今回初めてお会いできましたが、カプースチンの普及には多大なお仕事をしてくださっています。彼はロシア人ですが、実際カプースチンにも何度か会いに行ってくれていますし、今回のYanaさんの本の構成や全体のチェックなど詳細に行ってくださったようです。表紙のカプースチンの写真もLeonidさんがカプースチン自宅で撮ったものです。
この本にはカプースチンにまつわる新事実がたくさん詰まっています。いずれロシア語(逆翻訳?!)、日本語、ドイツ語などに翻訳される可能性もあるかと思いますが、多くの人に読まれてほしい本です。
このように、世界のあちこちに散らばってはいますが、カプースチンを愛するメンバーのチームのようなものができてきて、彼らは本当にかけがえのない仲間たちです。人間としてもとても素晴らしい方たちです。まだ数年はこのプロジェクトは続いていきますので、私もできるだけ関わっていきたいと思っています。