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ジョン・サーモンのカプースチン

やっと手にしました。
封印されていたカプースチンのピアノソナタ15番が収録されたCD。
NaxosからリリースされたJohn Salmon氏のオール・カプースチンの録音です。

ソナタ15番は氏の委嘱によるもので、作曲家に「完成から1年間は誰にも楽譜を渡してはいけない」と言い渡したとされる作品ですが、考えてみたらもう完成から2年が経っていますね。ようやくこれで世界中の人が耳にできるというわけです。(→2005年12月11日の日記を参照)

John Salmonの演奏、なかなかすばらしいです。世界初録音のソナタ15番のほかは、エチュード集、プレリュード集、ソナタ等から抜粋された小さな曲ばかりです。彼はデイヴ・ブルーベックの作品の録音などもしますが、ジャズとクラシックの両方に同じだけ強い思い入れを持つピアニストの一人と言えるでしょう。そのようなピアニストはこれからも増えることと思いますが、そんな彼にカプースチン作品はうってつけです。自身が書いたライナーノートの文章中にも、クラシックの作曲家とジャズマンの名前が意図的かと思われるほど半々に出てきます。面白いですね。

ソナタ15番は全4楽章からなりますが、最初の3つの楽章は続けて演奏されます。第3楽章のスケルツォは、ソナタ16番の第2楽章中間に挟まれたスケルツォとの共通性が感じ取れます。ここでの八分音符は、通常の十六分音符で弾かれるようなスピードで奏されます。作曲者自身のソナタ16番の録音で、八分音符のパッセージをあまりにも強烈な速さで弾くので笑ってしまったのですが、こんなところにも作曲家カプースチンの感覚の特異さが現れていると思います。

さて、ソナタ15番の第3楽章には、リストのラコッツィ行進曲からの引用(?)と思われるメロディーがほんの一瞬ですが出てきます。これは意図的なのだろうか。それともまったくの偶然?ソナタ9番の第1楽章にもベートーヴェンの悲愴ソナタのテーマ(?)と思ってしまう箇所があったかと思いますが、あれと似ています。カプースチンの意図的なユーモアか、無意識的なユーモアか、どちらかなのでしょうね。本人に尋ねたら、逆にびっくりされるというようなものかもしれません。今のところは謎のままにしておきましょう。

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