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辻井伸行作曲『風の家』が演奏された!


5月に放送されたBSテレ東「おんがく交差点」で私はカプースチンを2曲ほど演奏しましたが、ヴァイオリンの大谷康子先生の「ぜひ辻井伸行さんの曲も共演しましょう」という提案で、彼が作曲した『花水木の咲く頃』という曲をヴァイオリンとピアノで演奏しました。意外にもその評判が良かった(カプースチンよりも?!笑)ので、先日の旭川市民文化会館での公演で私はクラシック曲に混ぜて辻井君のソロ曲を1曲プログラムに入れることを決めていました。

実は辻井伸行君は私が指導していた小学生の頃からピアノで作曲も手掛けていたし、やがて映画のためのテーマ曲なども依頼されるようになってオリジナル作品だけのCDもかなりの枚数出していましたが、私自身は彼の曲をこれまで公の場で弾いたことは一度もありませんでした。「おんがく交差点」での演奏を機会に、考えてみれば彼の曲をわざわざ演奏会で取り上げるピアニストは少ないかもしれない、と思って8/8の演奏会で取り上げることにしたのですが、私が選んだのは彼の曲の中で最も好きな『風の家』でした。その日のお客さんの反響もとても良かったので「まあ良い選曲だったかな」とは思っていました。

そして、昨晩8時にパラリンピック開会式が始まってテレビをつけたら、冒頭で辻井伸行作曲『風の家』が流れてくるではありませんか!! 演奏はもちろん辻井伸行君本人で、オーケストラとピアノのバージョンでしたが、この曲が開会式の最初の日本国旗入場のシーンでかなり長い時間演奏されていました。私は事前に知らなかったのでビックリしたのですが、すごく嬉しかったです。やはりこの曲にはたくさんの人を魅了する何かがあるのだと思いました。

『風の家』とは、ショパンがマヨルカ島に行った時に最初に短い期間だけ住んだとされる家で、現存するその家に辻井伸行君がテレビの番組撮影のために訪ねて、その場所にあったピアノで即興演奏した曲が元になって作曲されたものです。いかにも伸行君らしい純粋で優しい気持ちを起こさせる素晴らしいメロディなのですが、ショパンのことを想っていたのか、何か特別な感情が乗っているようにも思います。それで他の曲と比べても、この曲にだけ感じられる新鮮さみたいなものが私はとても好きなのです。

無数にある音楽の中から、まさかパラリンピック開会式に彼のこの曲が選ばれるとは思っていませんでした。もちろん「演奏は、ピアニスト=作曲家の辻井伸行さんです」とアナウンスもされていました。すごいですね。これで『風の家』が名曲の仲間入りを果たしたと思います。

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