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第18回ショパンコンクールへの感想②


昨日第三次予選の結果が発表されて12人がファイナルに選出されました。
ショパンコンクールの公式サイトを含め、通過者リストはいろんなところで公開されているのであえてここには書きませんが、日本人は2人が残りました。本当におめでとうございます。

日本のピアノファンのショパンコンクールへの注目度はいつも高いですが、今回はいろんな意味で世界に向けて日本人参加者発信の話題性にはけっこう強いものがある気がしてとても嬉しいです。
ファイナルに残った反田恭平さんや小林愛実さんに限らず、皆さん自身の実力と個性をアピールできたのではないかと感じました。もちろん日本人に限らず、今回のショパンコンクールでは「これほど多彩なピアニストがいるものか」と、あらためてピアニズムの発展とピアノ界の変化を感じました。コンクールへのプログラムの組み方(曲選びと曲順等)にも各自の個性やこだわりが強く感じられますし、その可能性も以前よりはるかに広がってきたように思います。あと、やはり普段はあまり触れることのできないショパンのマズルカ作品にこれだけ多くの演奏家たちによる解釈で素晴らしい演奏が聴けるのもショパンコンクールならではです。

それよりも何よりも、このようにストリーミングで世界で同時に聴ける時代になったからこその賜物だとは思います。ライブでは世界で視聴している人たちからのコメントがリアルタイムで送られてきますので、これまたエキサイティングですし、コンテスタントもドキドキワクワクしながら毎日を過ごしていることでしょう。明らかにコンクールが以前よりも多くの人に観られて、ピアノ音楽やピアニストたちにスポットが当たっていると思います。ピアノ弾きたちにとっては特別の季節ですね。何よりもショパンに感謝です。

チャットコメントではもちろん演奏について、コンテスタントについて感じたことなどを好きに書いている人も多いのですが、意外にも使用楽器についてのコメントもけっこうありました。今回は第三次予選ではスタインウェイとカワイとファツィオリの3種類の楽器を選んだ参加者が残っていて、スタインウェイが一番多いのですが、カワイとファツィオリも3人ずつ残っており、音に対しての評価や印象を様々に語っている人が多いのです。カワイを選んだのは今回3人とも外国人でしたが、楽器へのコメントも海外の人のほうが多いように感じました。

余談ですが、私は先月カワイのSK(Shigeru Kawai)シリーズの楽器を気に入って1台自宅に購入しました。レッスン室でスタインウェイと並べて使っているのですが、SKには音にもタッチにもスタインウェイと違った個性と良さがあります。ショパンコンクールでコンテスタントが弾いているのを聴くと、スピーカーを通してもそれぞれの楽器メーカーの個性がわかります。特に高音の響きに顕著に違いが感じられます。

まだ私はあまりたくさんの演奏を聴いてはいませんが、私の生徒さんや保護者など皆さんずっと聴いていて「全然飽きない」と言っています。それはショパンの音楽の魅力でもあるでしょうし、何よりもコンテスタントたちが入魂の演奏を繰り広げているからだと思います。確かに、これほど世界からの注目を浴びて大きな緊張感を持って演奏する機会は、若きアーティストたちにとっても稀有な機会だと思います。それだけ情熱をかけて数年間も準備をしてきたわけですし、実際にすごいクオリティの演奏が多いように思います。しばらくピアノがブームになりそうです。

NHKなどは昨夜も「クラシック音楽館」でショパンコンクールのレジェンドの番組をやっていましたし(ちょっとしか観ないつもりが、結局ポリーニのショパンの『24のプレリュード』全曲聴いてしまった!)、また来週から21日と28日には以前(このブログでも紹介しましたが)放送があった番組クラシックTV「Youtubeと音楽~ピアノ蔵出しスペシャル!」が再放送されるようです。このブログでもたびたび紹介してきたカティンさん(角野隼斗君)もショパンコンクールで素晴らしい演奏を披露してくれましたが、ユーチューバーとしても世界にアピールする存在の一人として大いにピアノ界に貢献してくれているように思います。日本発信で世界にアピールできることはまだまだありそうです。日本人も最近は英語でインタビューを受けるのも当たり前になってきましたし、もっと日本から世界に打って出ていく時代に変わっていきそうな気もします。

海外のコンテスタントの演奏への感想も書いてみたいと思っていますが、まだファイナルのラウンドがこれから始まるところですので、もうしばらくウォッチしていきたいと思っています。

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