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第18回ショパンコンクールへの感想③


ワルシャワでのショパンコンクールは感動とともに終わったようです。まだ余韻は少し続くかもしれません。
日本人としては2位に反田恭平さん、4位に小林愛実さんの2人が入賞しました。本当に快挙と言って良いと思いますが、お二人とも夢を叶えられて素晴らしいなと思います。1位を獲ったブルース・リウ君も演奏はもちろん人間にもとても好感を持ちました。

まだ世界が落ち着いているとは言えないこの大変な状況の中で、このようにショパン国際ピアノコンクールがきちんと開催できて、そしてこれほど大きな感動を世界に与えてくれたことを、主催に関わる方たちやコンクール参加者たちに感謝したいという気持ちだけです。

これだけ多彩な若いピアニストたちが出てきて、それぞれの境遇の中でショパンの音楽をここまで追求し、世界の人たちに注目される中でそれぞれ力を発揮して大きな感動を与えてくれたことに感激しています。クラシックの世界は非常に狭いとは思うけれども、このような機会がまた多くの人たちを音楽の世界に引っ張ってくれる役割を果たしたのではないかと感じます。ライブの中継などによって、演奏シーンはもちろんのこと、参加者や過去の入賞者やコンクール関係者たちのインタビューやトークの映像もふんだんに混ぜての動画が世界に公開され、通常時よりも影響力は大きかったのではないでしょうか。結果発表待ちの時間(今回は特に長かったように思われる)にも、ファイナリスト全員を集めての長時間のトークがありましたが、アレクサンダー・ガジェフやマルティン・ガルシア・ガルシアなどは、演奏ももちろんですが、喋っても本当に個性的で面白かったです。しばし笑ってしまいました。人間にもすごく興味が持てました。ああいう企画をやると、もうその人の人間性から何からすべてがさらけ出されますから本当に興味深いですね。逆に言えば、今後はこのような国際コンクールを受けるコンテスタントに要求されるレベル、あるいは世界に向けて発信されるレベルというか敷居はますます高いものになるのではないかと思いました。

今回で18回目ですが、1927年から始まったショパンコンクールの伝統が今の時代も続けられているということに感動します。ショパンの音楽にはまだまだ奥行や普遍性があるということですね。現代の若者が弾くショパンはおそらく以前とは違ったものになっていると思います。でもそのような演奏が現代に評価されていくことも嬉しいことですし、喜ばしいことです。もちろん審査員にもこれからもどんどん高いレベルのものが要求されるようになっていくのでしょう。ショパンの音楽の研究はまだ現在も続いています。とにかくショパンという作曲家のお陰でクラシック界はまだまだ発展の可能性があることを確信させてくれました。

1か月にもわたって大変な精神力と体力を要求されたコンテスタントたちにはゆっくり休んでもらいたいと思いますが、きっと演奏会のオファーですぐに忙しい日々が始まるのでしょうね。ブルース・リウ君などはもう演奏会のスケジュールが埋まって少なくとも来年2月までは1日も休みがなく、それまでに家に帰れる日があるかどうかさえもわからないとか言っていましたから。特に入賞した人たちには今後華やかなキャリアが待っていることでしょう。賞をもらうことができた人も入賞できなかった人たちも含めて、それぞれの境遇で自分の人生を魅力的なものにしていってほしいと思うばかりです。そして多くの人たちに素晴らしい音楽とその生きざまをこれからも私たちに届けてください。

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