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Antonio Pompa Baldiのこと

何度かブログに書きましたが、今回ペルージャで知りあったAntonio Pompa Baldiというピアニストのことを書きます。

今日がペルージャ音楽祭も最終日となるようですが、彼は昨夜、2回目のリサイタルを無事に終えたようです。昨日のプログラムは、ショパンのソナタ第2番、リストのバラード第2番、ブラームスのパガニーニ変奏曲第1巻&第2巻だったそうです。実は、8/4のリサイタルがあまりにも絶賛を博したので、是非アンコールをということで、突然の要請でもう一度リサイタルを行うことになったのです。彼はつい1週間ほど前に「同じプログラムではやりたくないから何を弾こうかな…」と言っていたほどです。ペルージャで2回もリサイタルをやる予定はなかったので楽譜も持ち合わせていなかったようで、「頭の中にあるものしか弾けないし…」という状況だったようですが、それでこのプログラムを弾ききったそうです。

ちなみに、彼の1回目のリサイタル(8/4)のプログラムは次のようなものでした。

★リャプノフ エチュード Op.11 No.12「フランツ・リストの追悼の悲歌」
★ショパン 12のエチュード Op.10(リストに献呈)
★リスト 婚礼(「巡礼の年第2年」より)
★リスト=ヴェルディ エルナーニ・パラフレーズ
★ロベルト・ピアナ 「リストを読んで」

見れば分かるとおり、作曲家リストにちなんだプログラムです。とてもよく考えて準備された曲目で、なかなか気が利いています。

リャプノフの「12の超絶技巧練習曲 Op.11」そのものがリストへのオマージュとも言える作品ですが、最後の第12番にはリストの名が入っています。また、ショパンのOp.10のエチュード全曲を弾きましたが、これも考えてみればリストに献呈された作品です。
最後のRoberto Piana作曲の「Après une lecture de Liszt」という曲(タイトルはもちろん「Après une lecture de Dante」(『ダンテを読んで』)のもじりと想像される)は、私もこの日実演を聴けたのですが、リストのさまざまな有名なピアノ作品からの引用が曲中にあり、大変技巧的で優れた作品でした。はっきり言ってこの曲に圧倒されました。どうやら、この曲はイタリアの現代作曲家(=ピアニスト)Roberto Pianaの最新の作品のようで、こんな曲をレパートリーに持っているのだから「面白いピアニストだな」とまず惹かれました。

アントニオ・ポンパバルディさんはイタリア生まれで、現在はクリーヴランド音楽院で教えています。彼はクリーヴランド国際コンクールで優勝したり、ヴァン・クライバーン・コンクールやロン=ティボー・コンクールでも上位入賞しているすごい実績を持っているピアニストです。今後の活躍がとても期待されます。私の生徒たちにも大変人気がありました。

彼はこの夏、このシーズン中から、さっそく来年度のレパートリーをさらい始めると言っていました。夏は毎年7月から9月までほぼ3ヶ月間の休みがあるから、ピアニストはこの時期に自分のレパートリーを広げるのです。何という長い夏休みでしょうか!ピアニストの理想的なライフスタイルですよね。アメリカ在住のピアニストたちはうらやましいです。日本ではそんなこと望むべくもありませんが、でも少し真似してみたくはなりました。私の感覚だと、「もし3日間丸々休みがあったらどんなに裕福な気持ちになれるだろう」というような、これまではせせこましい人生だったので、そろそろ本格的に自分のライフスタイルを改造しなければいけないかな、と、まあいつもヨーロッパへ行くたびにそう思って帰ってくるわけですが、どうなるやらわかりません。

それでも、いろんな人に出会えるのは本当に素晴らしいなと思います。
大学生たちにとっても、このヨーロッパでの数々の経験は、日本にいるとあまり経験できない類ものだったのではないかと思います。
ぜひ皆に国際的な舞台で活躍していってほしいと願っています。

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