今回の渡欧で私はドイツを訪れなかったのですが、なんと日本に帰国と同時にマインツのショット本社のカプースチン担当者から久しぶりにメールを頂きました。
カプースチンの楽曲を現在進行形で次々と出版しており、私には断続的に校正の仕事が入ってきます。これ自体はとても嬉しいことなのですが、最近ではもう自分がまだ弾いたことのない曲の校正譜も送られてきますのでけっこう追われております。
富山から帰って来てちょうどピアノ小品2曲(Op.139と140)の校正を終えて送ったタイミングで、次の新たな校正依頼(ピアノソナタ第4番!)が届きました。続けてソナタ第5番も送られてくる模様。(ショットもやる時にはコマをどんどん進めますね!)
人気のピアノソナタ第1番や第2番に比べて、少しとっつきにくいと思われる第4番や第5番など一体誰が弾くのだろう?と思ってしまいますが、この2曲のソナタでついにカプースチンのピアノソナタ全20曲を制覇!ということで、ラストスパートにも似た状況ではあるのでしょう。現時点でカプースチン全161作品の中のかなりの部分を網羅していると思います。
先日のウィーン訪問の際に、ウィーンの老舗楽譜店ドブリンガーにも立ち寄ったのですが、カプースチンの楽譜はそこでもちゃんと売られていました。

楽譜はアルファベット順に整理されていますが、最初に「カプースチン以外のK」という棚が見つかったので「あれ、カプースチンは?」と思ったのですが、すぐその下にカプースチン作品だけの特別な引き出しがありました。中を見ると、私が解説を書いたり校正したショット社の楽譜が山ほど入っており、異国の地でこうして売られているのを見るのは嬉しいものでした。
引き出しには雑多にメジャーな作品もマイナーな作品も関係なく重ねられて入っており、よく売れる楽譜だからと言ってたくさん入っているわけではありませんでした。私が日本から連れて来ていた学生が『8つの演奏会用エチュードOp.40』を1冊買ったので、瞬間的にその作品は売り切れとなってしまいました(笑)。
このようにカプースチンはクラシック作曲家の中でもすでに広く認知される存在になっていることは確かです。リスクを顧みずに新しい作品を次々と出版してくれるショット社のためにも、どちらから言えばマイナーな曲の楽譜も今後少しずつ売れていくと良いな、と思いました。
ちなみにドブリンガーで手に入れることができた『8つの演奏会用エチュード』の楽譜ですが、現在の円安を考慮しても日本で買うよりはけっこう安い値段で買えたようです。