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先日の国際コンクール“Japan Piano Open“を終えて


前回の記事アップからずっと暑い日が続いていました。本当に今年の日本の夏は暑かったですね。
あと世界ではあちこちで今も天変地異のような状況がまだ続いているようにも見えます。皆さんが災害に遭われないことを祈るばかりです。

夏休みもそろそろ明けますが、ちょうど5日前に2024年2月にドバイで行われる予定のClassic Piano国際コンクールの前哨戦にあたる東京大会Japan Piano Openコンクールが終わったところです。約1年半ほどかけて世界の14都市で行われてきたこのコンクール。これらの都市で行われる一回のコンクールでもけっこう大変なもので、例えば今回の東京大会での1位の賞金は日本円で150万円(10.000ユーロ)になります。コンクール開催場所がたまたま我が東京音大の中目黒キャンパスだったので、少し不思議な感じもしましたが、馴染みの場所に日本からの参加者に加えて海外からも多くの参加者が集まって行われました。プログラムが大きいので敷居が高いと感じられた人もいたかもしれませんが、当日参加した人たちはしっかり準備できていた人が多かったと思います。特に本選では一人50分ほどのプログラムを弾きますが、本選に残った8人は確かに皆さんよく弾いていたという印象です。

海外から審査員として2名が参加してくださり、一人はオーストリアからCordelia Höfer-Teutsch先生、もう一人はイタリアからGiulliano Mazzoccante先生、そして日本から有森博先生と岡田敦子先生と私。この5名で審査室は和んでいてとても楽しい3日間でした。

審査結果発表と表彰式が終わった後、演奏した参加者たちは審査員と自由に話しても良いという時間を取ったので(これはこのコンクールの特色で他の都市でもやっていたということなので)、いろんなコンテスタントと話ができて大きな収穫がありました。

参考までにこのコンクールの1位~3位、それに続いて来年ドバイ大会への出場権を得た2名を書いておきます。
1st Prize – Yangrui Cai(China)
2nd Prize – Kaho Araishi(Japan)
3rd Prize – Kojiro Okada(Japan/France)
Motochika Shiozaki(Japan)
Rin Suzuki(Japan)

1位を獲ったYangrui Cai君は、アメリカで勉強しているということですが、今回遠くから日本まで受けに来たのですね。実は彼にはすでに多くのコンクール入賞歴があったようですが、腕前には相当な自信があるようでした。彼が本選の最後のプログラムで弾いたワーグナー=リストの『タンホイザー序曲』はかなりさらい込んでいて圧倒的な印象を与えていましたが、終演後に彼と話すと「あれは2週間くらいで仕上げたんですよ」などと言っていました。予選で弾いたバッハの平均律も2巻の4番という音楽的にも技術的にも技量が試されるような曲を選んでいましたが、彼の話からはよく勉強してきたという自負が感じられました。

他にもそれぞれの参加者たちの頑張りと情熱が感じられる会話がたくさんあり、素晴らしい演奏を聴かせてもらえたことも含めて、私たちにとっても本当に意義のある3日間となりました。
次回はこのコンクールに国内からも海外からももっと多くの若いピアニストたちが参加されると良いなと思っています。

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