しばらく離れていましたが、久々にネットの世界に戻ってきました。(またすぐにいなくなるかもしれませんが…。)昨日の夜は、特に海外からのたまっていたメールに一気に返事を書きました。カプースチン関連のことで嬉しいメールをいろいろと頂くのですが、あいにく非常に忙しい時でも外国人は関係なく送ってきますから…。まあメールを頂くのは嬉しいのですけど。
昨日は、一人でフルプログラムのオール・カプースチンを弾くという、いうなれば初めての試みでありました。関係者の皆様、そして聴きに来てくださった皆様、本当にありがとうございました。遠方からもたくさんの方が来てくださいました。心より感謝いたします。
多くの方のご想像通り、今回のハードなプログラムのために私は4キロ、多めにみて5キロほど痩せました。これまでいろんな経験はしてきたものの、あのプログラムを弾きこなすのに、体力的に、また集中力の観点からどのように力配分を設定したら良いのか予測のつかない面があり、本当に消耗しました。特に思うのは、カプースチンの曲は頭でわかっていることと身体でできることを一致させるのが本当に難しいということです。これは今後の課題ですが、他の作曲家の曲を弾くためにもカプースチンは大変勉強になったと思います。
さて、昨日お客様たちに配られたプログラムを終演後に拝見しましたが、実はほかに今回カプースチン本人が書いてくださった各曲目への解説もあったのです。紙面の関係でプログラムにはカットされていたようですので、せっかく書いていただいたのにもったいないですからここに披露しておきたいと思います。
[以下、N.カプースチン氏による原文の翻訳]
コンサート・プログラムに寄せて
本日のプログラムで聴かれる10曲の作品中、私が川上の演奏で聴いたものは4曲だけです。それ以外の作品は、彼が自身の次のCDに入れるなどのチャンスがあれば聴くことができるでしょう。
Op.58 遅いテンポの純粋にジャズ的な作品
Op.118 & 123 ラテン・アメリカのリズムを1台のピアノによって表現しようとした試み
Op.108. この曲のテーマを作曲したポール・ドゥヴォイリン氏の依頼によって書いた曲
Op.110 一連の1曲ものの小曲として書き始めたが、ソナタの第1楽章にふさわしいことがわかり3つの楽章を追加した
Op.65 この曲も“アンダンテ”同様16年前に書いた作品。そういうわけで、これら2曲はきわめて古い作品
Op.122 二つの小さな、しかしなかなか骨の折れる(曲のタイトルに反して)エチュード
Op.53 これらプレリュードが今日のプログラム中で一番古い作品(1989年作曲)。スタイルは現在私が書くものとはいくぶん異なる。
Op.102 これは、私の作品中ただ1曲の2楽章形式ソナタ。まるで第3楽章メヌエットから始まるかのような体裁。確かに第1楽章は3/4拍子であるが、まったくメヌエットらしくはない。